【ヘッドホン】 Fidelio X1を再評価。 

Philips Fidelio X1


Fidelio X1を手に入れて2ヶ月経ちましたので再評価しました。


□ 装着感など


【側圧】
側圧は購入当初は少し強く感じましたが、現在は適切な強さです。
うつむく程度ではずれませんし、ヘドバンでもしなければ外れたりしないでしょう。
側圧が緩んでくるとドライバと耳との距離が伸びるので低域が大人しくなります。
無理矢理広げたりするのはお勧めできません。


【ヘッドバンド】
X1は被ると伸縮するメッシュバンドが自動で位置決めしてくれる構造です。
そのため一定の圧力が常に頭頂部にかかります。
メッシュバンドは面積が大きめに取られており圧力を上手く分散してくれます。
長時間の試聴でも蒸れにくく痛みを感じることはありません。

しかしバンドのバネが購入当初は強めでハウジングが上に持ち上げられる感じがする
ので慣れるまで違和感があります。勝手に外れていく感じと言った方が適切?
元々ヘッドバンド自体が短めなので頭部の大きい人は辛そうです。

自分はヘッドバンドを頭頂部に当てるより、少し前にずらすと丁度フィットしました。
一度合う位置さえ見つけてしまえば重量はさほど感じません。
まあ、368gと重量級になりますから映画1本分くらいで外した方が首に優しいですけど。


【イヤーパッド】
低反発ウレタン+ベロア生地で中々快適です。
パッドに十分な厚みを持たせてあるので耳介がどこにも触れません。
自分はちょっと福耳気味なのでパッドが薄いヘッドホンだと内部に接触してしまい
時間経過でその部位に痛みがでます。なのでX1のイヤーパッドには満点をつけたい。

蒸れる感じは開放型にしては多いかな?密閉型に近いのかもしれません。

このパッドはインタビュー記事によると音響部品も兼ねており複雑な構造となっているらしい。
そのためかユーザーによる交換は一切不可と割り切った仕様です。
輸入で安く買ったからいいものの、国内販売価格を考えるとそりゃないだろと突っ込みたくなる。
一応ベロア生地はしっかりとした物で表面の羽毛は長めでコシがある感じ。
ウレタンパッドと違ってそう簡単には剥げないとは思いますが今後が心配。


【重量】
やっぱり368gの重量はずっしり重いです。
メッシュバンドで頭頂部への負担は少ないですが、時間経過で首が疲れます。
映画1本分なら苦になりませんけど、ゲーム用には向かないかな。
そうは言いつつも平気で3~4時間装着していたりするので状況にもよります。



□ 音質など


【音漏れ】
開放型ですから盛大に漏れます。
ドライバーが50mmもあるせいか深夜だと離れても曲が分かりますね……
最初から分かっていて敢えて開放型を選択したので文句をつけるのは筋違いな話ですが。

ハウジングから漏れる音を聞くと高域が中心です。シャカシャカ系。
低域は外へ漏らさず、内側へ放射しているのかな?
これが豊かな低音表現に繋がっているのかなと思いました。


【高域】
耳障りなサ行刺さりなど、痛みを伴う刺激が一切無い綺麗な音。

表現としては少し乾いた感じです。艶やかさはそれなり。
上に伸びる感じは少なく、どこか抑えられた雰囲気がします。
いわゆる「抜けの良さ」や「ノビの良さ」は他社に譲る感じでしょうか。

高域に強いヘッドホンから切り替えると物足りなさはあるかもしれません。
とはいえ篭もった感じは少なくガサつきや歪みの無い滑らかな音がします。
スッキリして整然と整えられた感じです。

それと低インピーダンスで感度も良いのにノイズを拾いにくいです。
高域の極一部のみを上手く削って目立つ音を調整しているのかな。
なので録音環境が悪い曲も「美音」に変化させてくれているようです。
ゼンハイザーのHD650と似た丸められた音と書くと分かりやすいでしょうか。
聴き疲れしないのでBGMとして聞き流しても良いですし、安いヘッドホンと違って
ちゃんと高域は鳴っているので「音を聴く」のにも支障はありません。


【中域】
ボワつかず引っ込むことも無い適度な距離感。
ボーカルがきちんと前に出てきてくれます。
わずかにコンサート会場のような響きが付帯されているので一歩ほど前に定位する感じ。
低域と被さらないのでポップスなどボーカル物に向いています。

倍音成分は多めにでている感じがします。
特に女性ボーカルの表現が巧みでX1を気に入った理由の一つです。
リップノイズは少なく生々しさより上品な感じですが、かすれるような事が無く
自然に聴ける感じがしました。どこか暖かさもあって気持ちよく音楽を堪能できます。


【低域】
開放型ですが充実した低音です。低音好きも納得の量感。
重低音はDJヘッドホンのように密閉型には敵いませんが、抜けの良い低音が楽しめます。
ちゃんと下の方まで伸びている感じがありますね。沈み方も自然です。
あまり中域までは被らないのでボーカルも邪魔しません。

それとアタック感を感じ取れる音圧もきちんと存在します。
どのようなジャンルも出しゃばらず、けれど楽曲の土台をしっかり支えてます。
嫌みさの無い低音です。お気に入りポイントその2です。


【音場】
購入当初は「広い」と書きましたが、聞き慣れてくるとそうでもないか。
音の立体感はゼンハイザー社のヘッドホン、すごく上手いですよね。HD800とか。
あんなのと比べたらアレですがX1も臨場感は高水準です。

音像定位が上手い。ミックスダウンがしっかりした音源を鳴らすと会場で聴いているかの
ような臨場感があります。低域と高域が左右へ広がり、ボーカルがセンター中央へ定位。
うっすら音全体に「響き」が付帯されており、それが音場の広さを演出しています。

ただ、突き抜けた爽快感・開放感は感じないなぁ。

篭もりを取り除いた密閉型のような雰囲気がありますね。
音の粒がスーっと消えていく最後の部分で踏みとどまっている感じ。
ゼンハイザーやAKGはキラキラ散っていくイメージです。

酷評しているようになったけど、広がりがある割に聞き取りやすい音なので好きです。



□ その他


【鳴らしやすさ】
音が歪む歪まないは別として、自宅にあった機器で一番出力が弱いXperia Zでも
不満の無い音量が確保できます。音圧低いクラシックでも十分なくらい。
とても鳴らしやすいヘッドホンです。

インピーダンス整合回路は入っていないはずですが、機器側にそれほど音質を依存しないようです。
ノイズが多いオンボードAC97はダメですが、HD Audio準拠まで行けばそれなりに楽しめるかと。
ヘッドホンアンプを間に入れると高域のノビがほんの少しだけ改善します。



□ 総評


高品質なデザインと音質を兼ね備えたヘッドホンです。
音質は低音よりの弱フラット型で濃厚な低域と滑らかな高域を特徴としています。
モニターよりリスニング向けの柔らかい音ですが、質の良い低域なので
クラシックからポップスまで難なく鳴らします。万人受けする音質。

全体的に響きが良いのと、帯域が整っている印象です。

高域のノビは少し抑えめですが、中域~高域まで癖が無く滑らかです。
特にサ行や擦過音の刺さる刺激が苦手な人にはたまらない音の出し方ですね。
それでいて篭もる感じはそこまででもなくバランスの良さが光ります。

一番の特徴は深く沈む質の良い低域です。
重低音まできっちり再生しつつボワつきを抑えてあります。
長く聞いても聴き疲れしない、けれど量感がある絶妙な質感です。
低域が不足しがちなポータブル機器でも楽しめます。


あえて文句をつけるならやはりイヤーパッドが交換できない点。
劣化の早いウレタンパッドで無いベロア素材なのが不幸中の幸い。
それでも内部のウレタンはヘタるので交換できれば良かったなぁ。
長く愛用してもらおうという意気込みが感じ取れない。
開発中だというX2に期待したいところです。

あと音質としては「生々しさ」「艶やかさ」「ノビの良さ」が少なめです。
高域表現を追求する人には向かないと思います。
とはいえクリアさは感じますので十分なんですけどね。
逆に言えば鋭さのある音源でも暖かみのある音で鳴らすので聴き疲れしません。
MP3など不可逆圧縮の音源が中心なら荒さが目立たないので実に最適。


米国Amazonでは2万以下で販売されていますので評価も非常に良いです。
国内だと4万円台ですからさすがに他社の同クラスに劣る気がします。
代理店のマージン取りすぎだと思いますが、日本ではあまりなじみの無い
メーカーですから多少は、ね。私は買う気すら起きませんでしたが。
イヤーパッド交換は有料みたいですからどうせ買うなら輸入しましょう。


ジャンルを問わずまんべんなく音楽を聴きたい人にはベストとなりうるヘッドホンです。
イヤーパッドの問題をクリアできるのなら同価格帯よりパフォーマンスは良いです。
また再生機器の出力が貧弱でも十分な音質と音量を得られるのもメリットです。
イヤーパッドを除き作りは頑丈なので長く使用できそうなのも良いですね。
[ 2014/04/27 10:46 ] ヘッドホン・イヤホン | TB(0) | CM(0)