【ヘッドホン】 HD650とFidelio X1とT90はどれも個性的。 

T90-HD650-X1

左からbeyerdynamic T90、Sennheiser HD650、Philips Fidelio X1
昨年購入したヘッドホンで、この3機種が特に印象に残っています。


■ Fidelio X1

視聴機に一目惚れして衝動的に購入。
深みのある柔らかい低域とクリアな中高域が特徴的です。
なかなか解像感も良くハイエンドにしては珍しい重厚なサウンドも魅力的。
特に定位感が素晴らしく他機種には得難いものがあります。

開放型と思えないほど厚みのある低域と、心地よい響き方も好印象。
バスドラムのずっしりした音圧まで振動として実感できるほどで、開放型でここまで
濃いのはそうありません。低音に定評のあるHD650でさえ薄っぺらく感じるほどです。

またT90やHD650、DT990Eで聞くに堪えないほど高音の刺激が強い音源であっても
X1だけはスムーズに再生してくれました。
音源を選ばない、大変オールマイティなヘッドホンです。

低反発フォームのパッドはクッション性に優れ長時間装着も苦にならない。
細部までこだわり抜かれた高級感のあるデザインで
「音はいいけど見た目がいまいち」な事も無く所有欲も満たしてくれます。


■ beyerdynamic T90

DT990 edition 2005を妙に気に入ってしまい、上位機種も欲しくなって購入。
鋭く硬質な音色で曖昧さのない明瞭な音質。
高解像度でありながら冷徹でもなく、ほのかに艶もある。

透き通った高域に紛れて目立たないが、実は低域の再生も上手い。
低域はほどよくしなやかでありながら、引き締まっている。ただ余韻をコントロールしすぎて
鳴らしづらいとも感じました。

明快でスカッと爽やかな鳴りっぷり。beyerらしい臨場感、生々しさも健在。
ビビッドに鳴り響くシンバルの韻は誰もが印象に残るはず。
無骨な見た目ながら装着感が割と良く、シンプルなアーチを描くヘッドバンドは
長時間装着でも苦になりません。

購入時はかなり高評価でしたが、HD650を購入したことで手放しました。
高域の表現が私の許容範囲を超えて突き抜けすぎているように感じたのが原因です。
特定の箇所を注目すれば最高級でしたが、全体のバランスが馴染めませんでした。
DT990Eさえあればリアル感の強いヘッドホンは足りています。


■ HD650
これぞ開放型ヘッドホンの王道。多くの意味でレファレンス機。

ヘッドホンスパイラルに陥った元凶そのもの。
10年前にこれに出会わなければ良かったのにと思わずにいられない。
後年になって時限爆弾のように炸裂し、結局購入してしまった。

今でこそミドル級の価格帯に収まっていますが、音質と扱いづらさは間違いなくハイエンド。
インピーダンスが300オームと非常に高い割りに、感度は悪くないのでiPod程度の出力で
あっても音量は取れますがモヤモヤ感が晴れず暗く沈んで聞こえがちです。
HP-A3で高域の再生はかなり良くなりますが、今度は低域の厚みが弱く感じます。

再生するアンプのグレードが上がるにつれて良く鳴ってくれます。
でもそれほどの高級機ならどのようなヘッドホンでも素晴らしく鳴りそうですが(笑)
貪欲なまでプレーヤーに性能を要求してきますので、マニア向けだと思いました。


HD650の良さはなんだろうかと考えてみると、まず装着感の良さが挙げられます。
軽量であること、そして頭頂部で左右に分かれたヘッドパッドのお陰で長時間の視聴に最適。
側圧は強めでしたが、数ヶ月かけて矯正したところ大変快適になりました。
手持ちの中で最も良好な装着感と言い切れます。

音質のレビューは各所でされている通り、低域よりのフラットな鳴り方。
高域から低域まで滑らかで、目立った凹凸もなくとにかくスムーズに再生します。
厚みやレンジの広さはX1、響きと開放感はDT990E、解像感はT90に譲りますが
低域~高域まで余すところ無く再生しているように感じられます。

音場が独特で、少しだけ前方から投射されているようです。
比較的耳横に近い部分で音が立ち上がり、外側へ広がりながら消失していきます。
この消失感とも呼べる部分がX1やDT990Eとも違った感触で面白い。
DT990Eは反響のある大ホールだとすれば、HD650は大きいスタジオっぽい雰囲気。
単純に広いだけでなく、音に密度があり包み込まれる感じが強い。
HD650の人気の秘訣はこの音場感に秘密がありそうです。

依然読んだオーディオ誌に「オーケストラに向いた音」と書いてありました。
試しにワルシャワフィルのライブ録音を聞いたのですが、どうしてか音が団子状に
まとまりすぎていて合わないように感じました。X1の方が真っ当に聞こえますし、
DT990Eは生々しい楽器の鳴りでホールに漂う空気感まで伝わってきます。
どちらかといえばスタジオ録音の方が向いているように感じました。

しかしながら、満遍なく音が散りばめられていながら、ボーカルが艶々しています。
微細な音ですら拾い上げて再生するので奇妙なくらい解像度も高く感じられます。
さらに高インピーダンスのためかバックグラウンドのノイズも目立たない。

「高音質」よりも「好音質」
音楽を「再生」より「演奏」と表現するとしっくりきます。

複雑な要素を纏め上げており、聴けば聴くほど高い完成度に驚くばかりです。
音を聞くというより音楽を文字通り「楽しむ」ためのヘッドホンでしょう。


T90-HD650

T90とHD650は共通する部分があります。
それは音場であったり、広がりや伸びといった部分であり、残響のコントロールが巧みだと思いました。
帯域のバランスはT90が高域よりで、HD650が低域よりですが根幹にあるのはフラットな中域。
波形の再現性も大事ですが、それ以上に音の広がり方を強く意識して設計された感じがしました。
またどちらも構成部品をモジュール化しており、修理や部品の調達がしやすく耐久性も高い。
道具としての完成度も優れています。ドイツのメーカーらしく質実剛健なイメージ。


HD650-X1

HD650とX1も共通するものがあります。
それは音楽を誰もが楽しく聞けるような違和感の少ない鳴り方だと思いました。
サ行の刺さり、高域のギラツキは一切無く、それでいて不足感も少ない。
特定の領域が多すぎということもなく、味付け程度でフラットな部類でしょうか。

X1はパワフルで深みのある音を、HD650はフラットながら中低域に厚みのある音です。
HD650は生演奏だと独特のベールに包まれた感触ながら広がり感が楽しく、
X1はそれに加えてEDMやポップス、打ち込み系にも相性良くオールマイティに楽しめます。

X1はやや低域が強調されているのでHD650の方が自然な低音ですが、グルーブ感や音圧も
体感できるX1の方がより楽しく、パワフルで好ましいサウンドです。

T90やDT990Eは生演奏だと臨場感が大変素晴らしいヘッドホンですが、高域を加えて
生々しさを演出しているため長時間聞いていると疲れやすいです。
特にミックスが悪いポップスだとザクザクした刺激で鼓膜が痛くなってきます。

X1とHD650は独特の周波数特性にはめ込んで鳴らすので、とても滑らかで
心地よく再生してくれるのです。
HD650の方が割りと強めに丸め込む傾向にあるので、録音次第ですが演奏者の熱気や
会場の雰囲気がやや削がれやすいように感じています。その代わりはじめて聞く音源でも
ゼンハイザーカラーに染め上げてくれるのである意味安定度抜群。
何を聞いても極端にバランスが崩れないのきわめて我の強いヘッドホンです。
その点X1は器用に整えてほんの少し「響き」をプラスしてあげるので、はっきりとした定位感
でありながら閉塞感も少なく、深い鳴り方で聞けば聞くほど惚れ惚れします。
いくつもヘッドホン買いましたがやっぱりX1が一番好きですね。
[ 2015/04/01 01:10 ] ヘッドホン・イヤホン | TB(0) | CM(0)

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